8/17
01:30 仙丈ケ岳通過
雷雨のせいもあるが、予定よりずいぶん遅い。
行動のペースは少し速めの登山という感じ。このままで間に合うだろうか、でも焦ってペースを上げてもそのツケは必ず後からやってくるから無理はしないでおこう。でも、行動しているのに非常に寒さを感じる。やはりペースを上げるか??
頭の中で色々と考える。
特に三伏峠17:00の関門について必死に考えた。
2012の時は熊の平を4時に出発し11時に三伏峠に到着した。
ただ、あの時はもっと飛ばせたのにゆっくり進んでいたので、あと1時間は早く行動できるはず。
つまり、熊ノ平から三伏峠まで6時間あればギリギリ間に合うだろう。との結論に至った。
しかし、まだ嫌いな三峰岳が待っている。仙丈ケ岳から三峰岳は南アルプスで一番嫌いな区間だ。
この区間で大幅なペースダウンがあれば厳しくなるが、ここさえクリアできれば光が見えてくる。コースタイム的には少し速く歩く事が出来れば大丈夫だ。
ペースが落ちそうになってくると、自分のことを応援してくれている人たちの顔を思い出し、あんなに応援してくれているのに諦めるのか!諦められるのか!俺のバカ!GPSをみんな見てるぞ!本気でやれよ!とぶつぶつ呟き、ペースを上げる。沢山の方が応援してくださっているということがこんなに力になったことはありませんでした。
三峰岳までの間に数名の登山者とすれ違ったが、それぞれ言うことが違って面白かった。ある人は「ついさっきすれ違ったところ、すぐに追いつくよ!頑張って!」と言い、ある人は、「え?前の選手?・・んー、けっこう離れてるから、どれくらい離れてるか分からないなぁ」と言う。きっと後者の方が正しいのだろうけれど、前者の方の発言の後って結構力が出ましたね。嘘も方便とは正にこのことだと思いました。
09:40 三峰岳
携帯電話の電波が入ったので気になっていたことを本部に確認した。それは私が最後尾の可能性があるのにスイーパーが見えないこと。私の後ろにいるとしたら岩崎さんだが、仙丈ケ岳の手前でビバークしている際に抜かされている可能性は大いにあったので、スイーパーの現在地を確認してみたのだ。返事はすぐには無理そうだったのでとりあえず進む。
久しぶりに気持ちの良い天気。山がきれいに見える。
10:30 熊ノ平小屋
小屋に到着するとご主人&奥さんが歓迎してくださった。
「何食べる?カレーなら早く作れるよ」
とのこと。時間的にギリギリだが、食べておいた方が後半のためになると思いカレーを注文。
ご主人曰く、NHKクルーと最終の選手は20分ほど前に出発したとのこと。
久しぶりにあったかいご飯とカレーを食べた。思わず「うまっ!」と声が出る。
ペットボトル2本を補給し、三伏峠までの準備を整える。
11:00 熊ノ平 出発
熊ノ平から6時間で三伏峠までチャレンジ。眠気が出てきませんように!と祈りながら進む。
13:00 北荒川岳
北荒川岳の端っこでは電波が届くので、携帯をチェックしたところ、妻から多数の着信があった。LINEには応援メッセージと関門まであと4時間というメッセージが。妻に「大丈夫だよ」と伝えるために電話をかけてみるが、こういうときに限って妻は電話に出ない。でも、寝ずにGPSを追いかけてそうな妻の事を思うとここで関門にかかるわけにはいかないな。と関門通過を目指して進む。
15:00 塩見岳
登りでは強い眠気に襲われたが、足を止めることは無かった。なんとか予定通り塩見岳を通過できた。塩見岳からの下り途中で秋元さんを追い抜かした。追いつくと思っていなかったので驚いた。
15:30 塩見小屋
飲み物を補給。トイレにも行って最後のスパートに備える。
小屋のご主人に1時間半あれば余裕と言って頂き安心した。
NHKカメラマンに「間に合わせます。」と伝え、スタート。カメラマンもついてきた。結構飛ばしているのに着いてくるカメラマンすごいな。と思っていたら、ふいに「間に合わせるつもりですか?」と聞かれたので、さっきそう言ったじゃん。と振り返ると、カメラマンだと思っていたら秋元さんだった。「そうですよー、ギリギリだけど間に合いますよ!」と答えた。
1人より2人の方が心強い。下りと平地は走って、登りは早歩き。
そして塩見小屋を出発してから1時間20分後、三伏峠に到着。関門閉鎖7分前でした。
16:53 三伏峠到着
三伏峠ではスタッフ皆が喜んでくれた。GPSの交換の手順をしっかりシミュレーションしてくださっており、スムーズに関門を通過することが出来た。
ロゲイニング界の帝王柳下さんも応援に来てくださっていて感激。ありがとうございます。
関門通過後は自由の身となり、小屋で選手盛カレーを注文。ここでカレーを注文すると温かいお茶がついてくるのがありがたい。
しっかり食べて、しっかり休憩して出発。
熊ノ平から三伏峠の間はTJAR2018を通して、一番頑張った区間だったと思う。
諦めずに頑張ることの大切さ。子どもたちにいつも言ってるので、お父さんも諦めずに頑張ったぞ!
って自信を持って言えるな(笑)
18:00 三伏峠出発
秋元さんと共に出発。
しばらく進むとヘッドライトの電池が切れそうになり、烏帽子岳手前で座り込んで電池交換。秋元さんは先に進んで行かれた。座っていると眠くなり、そのまま寝ていた。約1時間程寝たところで前から誰かがやってきた。TJARの応援の方とのこと。行き倒れた姿を喜んで撮影されていた(笑)
幸いまだスイーパーには追いつかれていないが、いつ追いつかれても不思議ではない。
と思っていると、後ろからスイーパーと共に高田さんがやってきて、あっという間に抜かされた。ということはスイーパーは私につくことになる。スイーパーが桃太郎電鉄の貧乏神に思えてきた。早く誰かを抜かして貧乏神を移さなければ。スイーパーのお二人の「まだコースタイム3時間のところでこのペースやばくね?」という呟きが聞こえる。「うん、やばいっすよねー。わかってるんですけど眠いんです。」と心の中で呟く。
少し進むと秋元さんに追いついて、無事スイーパーを移すことに成功。
22:00 髙山裏避難小屋
トイレ休憩。
メッセージボードが用意されていたが、ペンが見当たらず記入を断念。
ここで竹内さんがビバークされていた。
なかなか進まない自分のペース。眠くて身体が動かない。
竹内さんが追いついてきたが、そのペースについていけない。もう寝る。
またまた行き倒れスタイルで目を閉じる。
目を開けると秋元さんとスイーパーのお二人が目の前に。眠いけど進まないといけないな。
秋元さんも眠そうでペースがゆっくり目。とりあえず2012の経験上、朝8時までに荒川小屋に着けば何とかなると考えていたので、秋元さんに「2012は荒川小屋に7:30くらい到着で完走できたので、まだまだ大丈夫ですよ!」と声を掛けて励ます。というか、そう言って自分を励ます。
いつの間にか日付が変わっていた。
・・・7日目に続く。